内在する有限
「きみの代わり」
あのね、私はきみを救いたかったんだ。
きみにとっては、この現実が正しい結末だったかもしれない。だけど、けど、なぜかどうしようもなく、この事実は間違いだと思う。
きみが私に、他人を救いたいと思うこと、自分に都合の悪い事実を間違いだと思うこと、すべて、自分勝手にすぎない感情だと教えてくれたのかもしれないね。
私は、ただ自分自身を守っていただけ。それの何が悪い。ああ、こんなことを思っても意味はないのに。それの何が悪いかなんて、誰も悪いなんて言っていない。私が決めつけたのだ。本当は全部わかっている。わかっているのに、どうしても、この苦しさが愛おしい。愛おしい。
この言葉を、何度心の中で繰り返したのだろう。
今私は目を開けているのか、閉じているのか、それすらもわからない。ここがどこなのかも、目の前の景色がなんなのかも、きみが誰なのかもわからない。きみは、きみは、えっと
「ねえ」
声が聞こえる。もしかして、と思ったけど、きみはねえなんて呼んでくれるような人じゃない。でもきみじゃないと言い切るのも、なんだか面倒だった。
とりあえず、返事をしないと。
「どうしたの。」
声が出た気がしない。
「ないね、いえでしてきたの。」
いえ、で。いえで。家出か。どうやら家出をしてきたきみが目の前にいる。
「そっか。じゃあ一緒に帰ろう。」
何を言ったのか、自分でもよくわからなかった。
その言葉の行き先は、私が思っていた場所じゃなかった。
「かえる?いっしょに?」
そうだ。
帰る。
帰る場所は私には、あった気がするのに、見つからない。
「うん。一緒に帰ろう。」
声を出しているつもりはないのに、そうきみに言う。身体を動かしているつもりはないのに、私はきみの手を引く。
歩いて、歩いて、知らない道を、知っているかのように辿った。
これはきっと間違いではない、そんな気がする。自分にとって都合が良いからだろうか、また、同じようなことを考えてしまっている。きみは、きっときみではないのに、
「あのね、私はきみを──」